示談書を自分で作成する完全ガイド:テンプレート付き【専門家が徹底解説】

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「パートナーの浮気が発覚したけれど、高額な弁護士費用をかけずに自分で示談書を作成したい」「どんな内容を盛り込めば法的に有効な示談書になるのか分からない」

このような悩みを抱えているあなたに向けて、元探偵として数百件の不倫調査に携わり、その後離婚問題専門カウンセラーとして活動してきた私が、示談書の自作について完全解説いたします。

この記事で得られること

  • 法的に有効な示談書作成のための必須項目
  • すぐに使える実用的なテンプレート(5パターン)
  • 示談書作成時の注意点と失敗事例
  • 専門家に依頼すべきケースの見極め方
  • 示談交渉を有利に進めるためのコツ
  1. 示談書の基本知識:なぜ作成が必要なのか
    1. 示談書の法的効力と意味
    2. 【専門家の視点】示談書と公正証書の違い
  2. 示談書を自分で作成するメリット・デメリット
    1. メリット
    2. デメリット
    3. 【専門家の視点】自作に向いている人・向いていない人
  3. 示談書に必要な必須項目と記載内容
    1. 基本項目(すべての示談書に必要)
    2. 【深掘り解説】慰謝料条項の書き方
    3. 特殊条項(ケースに応じて追加)
  4. 実用的な示談書テンプレート5選
    1. テンプレート1:一括払い・シンプル版
    2. テンプレート2:分割払い・詳細版
    3. テンプレート3:職場不倫対応版
    4. テンプレート4:慰謝料免除・謝罪重視版
    5. テンプレート5:高額慰謝料・厳格版
  5. 【実践】よくある失敗事例とトラブル回避術
    1. 失敗事例1:慰謝料額の設定ミス
    2. 失敗事例2:支払い条件の曖昧さ
    3. 失敗事例3:証拠能力の不足
    4. 失敗事例4:法的要件の不備
    5. 失敗事例5:相手方の支払い能力未確認
  6. 【深掘り解説】示談交渉を有利に進めるコツ
    1. 交渉前の準備
    2. 交渉戦術
    3. 交渉の進め方
  7. 専門家に依頼すべきケースの判断基準
    1. 必ず専門家に依頼すべきケース
    2. 自分で対応可能なケース
  8. 示談書作成から締結までの完全ステップ
    1. ステップ1:事前準備(1~2週間)
    2. ステップ2:初期交渉(2~4週間)
    3. ステップ3:条件交渉(1~3週間)
    4. ステップ4:示談書作成(1週間)
    5. ステップ5:示談書締結(1日)
  9. よくある質問(Q&A)
    1. Q1:示談書に印鑑は必要ですか?
    2. Q2:示談書を作成すれば、絶対に支払ってもらえますか?
    3. Q3:慰謝料の相場はどのくらいですか?
    4. Q4:示談書の有効期限はありますか?
    5. Q5:相手が示談書の内容を守らない場合はどうすればいいですか?
    6. Q6:示談後に新たな不倫が発覚した場合は?
    7. Q7:夫婦で合意していれば、どんな高額でも請求できますか?
  10. まとめ:あなたに最適な選択肢はどれ?
    1. 示談書を自分で作成すべき人
    2. 専門家に依頼すべき人
    3. 【最終アドバイス】成功する示談書作成のために

示談書の基本知識:なぜ作成が必要なのか

示談書の法的効力と意味

示談書とは、当事者間で合意した内容を文書化したもので、民法上の和解契約として法的拘束力を持ちます。不倫・浮気問題において示談書を作成する主な目的は以下の通りです。

示談書作成の目的

  • 慰謝料の支払い条件を明確化
  • 今後の接触禁止を約束させる
  • 再発防止の誓約を取り付ける
  • 口外禁止条項による名誉保護
  • 将来的なトラブル防止

【専門家の視点】示談書と公正証書の違い

多くの方が混同されがちですが、示談書公正証書には重要な違いがあります。

項目示談書公正証書
作成者当事者間公証人
費用無料~数万円数万円~十数万円
強制執行力なしあり(条件付き)
証拠能力高い非常に高い
作成期間即日~数週間数週間~数ヶ月

【重要】 金銭の支払いについて確実性を求めるなら公正証書、簡便性と費用を重視するなら示談書が適しています。

示談書を自分で作成するメリット・デメリット

メリット

1. 費用を大幅に削減できる 弁護士に依頼した場合の着手金10~30万円、成功報酬10~20%を節約可能

2. 迅速な解決が図れる 弁護士のスケジュール調整や複雑な手続きを省略し、当事者間で素早く合意形成

3. プライバシーを保護できる 第三者を介さずに済むため、周囲に知られるリスクを最小限に抑制

4. 柔軟な条件設定が可能 定型的な条項だけでなく、個別事情に応じたオリジナル条項を追加

デメリット

1. 法的不備のリスク 条項の記載漏れや表現の曖昧さにより、後日トラブルが再発する可能性

2. 交渉力の差による不利益 相手方が弁護士を立てた場合、知識や経験不足により不利な条件で合意してしまうリスク

3. 強制執行手続きの複雑さ 支払いが滞った際の法的手続きに関する知識が必要

4. 精神的負担の増大 直接交渉による心理的ストレスと、適切な判断を下すプレッシャー

【専門家の視点】自作に向いている人・向いていない人

自作に向いている人

  • 相手が支払い能力と支払い意思を明確に示している
  • 慰謝料額が300万円以下の比較的少額なケース
  • 双方が冷静に話し合える関係性を維持している
  • 基本的な法律知識を学ぶ意欲がある

専門家に依頼すべき人

  • 慰謝料額が500万円を超える高額なケース
  • 相手が支払いを拒否または渋っている
  • DVや脅迫などの要素が含まれている
  • 離婚調停や裁判も並行して検討している

示談書に必要な必須項目と記載内容

基本項目(すべての示談書に必要)

1. 日付と当事者の特定

令和○年○月○日

甲:住所 〒○○○-○○○○ 東京都○○区○○町○-○-○
  氏名 ○○ ○○  印

乙:住所 〒○○○-○○○○ 大阪府○○市○○町○-○-○
  氏名 ○○ ○○  印

2. 事実関係の確認 不倫行為の期間、場所、関係性などを具体的に記載。曖昧な表現は避け、客観的事実を明記します。

3. 謝罪条項 相手方の謝罪の意思を明文化し、責任の所在を明確にします。

4. 慰謝料の支払い条件 金額、支払い方法、支払い期限を詳細に規定します。

【深掘り解説】慰謝料条項の書き方

慰謝料に関する条項は、示談書の中でも最も重要な部分です。以下の要素を必ず含めてください。

支払い金額の明記

乙は甲に対し、本件不倫行為による精神的苦痛に対する慰謝料として、
金○○○万円を支払うことを約束する。

支払い方法の詳細

  • 一括払いの場合:振込先口座、振込手数料負担者の明記
  • 分割払いの場合:各回の支払い額、支払い日、最終支払い期限

遅延損害金の規定

乙が前項の支払いを遅滞した場合は、遅滞した日の翌日から
支払い済みまで年6%の割合による遅延損害金を付加して支払う。

特殊条項(ケースに応じて追加)

1. 接触禁止条項

乙は甲の配偶者である○○と、今後一切の接触(面会、電話、メール、
SNS等による連絡を含む)を行わないことを約束する。

2. 口外禁止条項

甲乙は、本件に関する一切の事実および本示談の内容について、
第三者に口外しないことを約束する。
ただし、法律上の義務に基づく場合はこの限りではない。

3. 再発防止条項

乙は、今後甲の配偶者と不貞行為に及ばないことを誓約し、
これに違反した場合は別途金○○万円を甲に支払う。

実用的な示談書テンプレート5選

テンプレート1:一括払い・シンプル版

示談書

令和○年○月○日

甲:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

乙:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

甲乙間において、乙と甲の配偶者○○との不貞行為について、
下記の通り示談が成立したので、ここに示談書を作成する。

第1条(事実の確認)
乙は、令和○年○月頃から令和○年○月頃まで、甲の配偶者○○と
不貞行為に及んだことを認め、深く謝罪する。

第2条(慰謝料の支払い)
乙は甲に対し、前条の不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料として、
金○○○万円を令和○年○月○日までに甲指定の下記口座に振り込んで支払う。
なお、振込手数料は乙の負担とする。

【振込先】
○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○
口座名義:○○ ○○

第3条(接触禁止)
乙は甲の配偶者○○と、今後一切の接触を行わないことを約束する。

第4条(口外禁止)
甲乙は、本件および本示談の内容について、第三者に口外しないことを約束する。

第5条(清算条項)
甲乙間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを確認する。

以上の約定を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各1通を保有する。

甲:○○ ○○  印
乙:○○ ○○  印

テンプレート2:分割払い・詳細版

示談書

令和○年○月○日

甲:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

乙:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

甲乙間において、乙と甲の配偶者○○との不貞行為について、
下記の通り示談が成立したので、ここに示談書を作成する。

第1条(事実の確認と謝罪)
乙は、令和○年○月頃から令和○年○月頃まで、甲の配偶者○○と
不貞行為に及んだことを認め、甲およびその家族に対し深く謝罪する。

第2条(慰謝料の支払い)
1. 乙は甲に対し、前条の不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料として、
   金○○○万円の支払い義務があることを認める。
2. 前項の金員は、下記の通り分割して支払う。
   ・令和○年○月○日 金○○万円
   ・令和○年○月○日 金○○万円
   ・令和○年○月○日 金○○万円
   (以下、毎月○日に金○○万円ずつ、令和○年○月○日まで)
3. 支払いは甲指定の下記口座への振込により行い、振込手数料は乙の負担とする。

【振込先】
○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○
口座名義:○○ ○○

第3条(期限の利益の喪失)
乙が第2条の分割金の支払いを2回以上怠った場合、または1回でも2ヶ月以上
支払いを遅滞した場合は、当然に期限の利益を失い、残金全額を直ちに支払う。

第4条(遅延損害金)
乙が第2条の支払いを遅滞した場合は、遅滞した日の翌日から支払い済みまで
年6%の割合による遅延損害金を付加して支払う。

第5条(接触禁止)
乙は甲の配偶者○○と、今後一切の接触(面会、電話、メール、SNS等による
連絡を含む)を行わないことを約束する。

第6条(再発防止)
乙は、今後甲の配偶者○○と不貞行為に及ばないことを誓約し、
これに違反した場合は別途金○○万円を甲に支払う。

第7条(口外禁止)
甲乙は、本件および本示談の内容について、第三者に口外しないことを約束する。
ただし、法律上の義務に基づく場合はこの限りではない。

第8条(清算条項)
甲乙間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを確認する。

第9条(合意管轄)
本示談に関する紛争については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上の約定を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各1通を保有する。

甲:○○ ○○  印
乙:○○ ○○  印

テンプレート3:職場不倫対応版

示談書

令和○年○月○日

甲:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

乙:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

甲乙間において、乙と甲の配偶者○○との不貞行為について、
下記の通り示談が成立したので、ここに示談書を作成する。

第1条(事実の確認と謝罪)
乙は、令和○年○月頃から令和○年○月頃まで、同じ職場で勤務する
甲の配偶者○○と不貞行為に及んだことを認め、深く謝罪する。

第2条(慰謝料の支払い)
乙は甲に対し、前条の不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料として、
金○○○万円を令和○年○月○日までに甲指定の口座に振り込んで支払う。

第3条(職場での行動制限)
1. 乙は甲の配偶者○○と、業務上必要最小限の接触を除き、
   一切の私的接触を行わないことを約束する。
2. 乙は甲の配偶者○○と同じ部署での勤務継続が困難と認め、
   令和○年○月○日までに部署異動または退職の手続きを行う。

第4条(口外禁止)
甲乙は、本件および本示談の内容について、職場の同僚を含む第三者に
口外しないことを約束する。

第5条(清算条項)
甲乙間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを確認する。

以上の約定を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各1通を保有する。

甲:○○ ○○  印
乙:○○ ○○  印

テンプレート4:慰謝料免除・謝罪重視版

示談書

令和○年○月○日

甲:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

乙:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

甲乙間において、乙と甲の配偶者○○との不貞行為について、
下記の通り示談が成立したので、ここに示談書を作成する。

第1条(事実の確認と謝罪)
乙は、令和○年○月頃から令和○年○月頃まで、甲の配偶者○○と
不貞行為に及んだことを認め、甲およびその家族に多大なる迷惑と
精神的苦痛を与えたことを深く反省し、心より謝罪する。

第2条(慰謝料の免除)
甲は、乙の深い反省と謝罪、および経済的事情を考慮し、
慰謝料の請求を行わないこととする。

第3条(接触禁止)
乙は甲の配偶者○○と、今後一切の接触(面会、電話、メール、SNS等による
連絡を含む)を行わないことを約束する。

第4条(再発防止の誓約)
乙は、今後二度と既婚者と不貞行為に及ばないことを誓約する。

第5条(口外禁止)
甲乙は、本件および本示談の内容について、第三者に口外しないことを約束する。

第6条(清算条項)
甲乙間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを確認する。

以上の約定を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各1通を保有する。

甲:○○ ○○  印
乙:○○ ○○  印

テンプレート5:高額慰謝料・厳格版

示談書

令和○年○月○日

甲:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

乙:住所 〒○○○-○○○○ 
  氏名 ○○ ○○  印

甲乙間において、乙と甲の配偶者○○との不貞行為について、
下記の通り示談が成立したので、ここに示談書を作成する。

第1条(事実の確認と謝罪)
乙は、令和○年○月頃から令和○年○月頃まで、甲の配偶者○○と
継続的に不貞行為に及び、甲の婚姻生活の平穏を著しく侵害したことを認め、
深く謝罪する。

第2条(慰謝料の支払い)
1. 乙は甲に対し、前条の不貞行為による精神的苦痛、婚姻生活の破綻等に
   対する慰謝料として、金○○○万円の支払い義務があることを認める。
2. 前項の金員は、令和○年○月○日までに甲指定の下記口座に振り込んで支払う。
3. 振込手数料は乙の負担とする。

【振込先】
○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○
口座名義:○○ ○○

第3条(遅延損害金)
乙が第2条の支払いを遅滞した場合は、遅滞した日の翌日から支払い済みまで
年6%の割合による遅延損害金を付加して支払う。

第4条(接触禁止)
乙は甲の配偶者○○と、今後一切の接触(面会、電話、メール、SNS、
第三者を介した間接的な連絡を含む)を行わないことを約束する。

第5条(近接禁止)
乙は甲または甲の配偶者の住居、勤務先から半径○○メートル以内に
正当な理由なく立ち入らないことを約束する。

第6条(再発防止)
乙は、今後甲の配偶者○○と不貞行為に及ばないことを誓約し、
これに違反した場合は別途金○○○万円を甲に支払う。

第7条(口外禁止)
甲乙は、本件および本示談の内容について、第三者に口外しないことを約束する。
ただし、甲が法的手続きを行う場合、および法律上の義務に基づく場合は
この限りではない。

第8条(違約金)
乙が第4条、第5条、第6条のいずれかに違反した場合は、
甲に対し違約金として金○○万円を支払う。

第9条(清算条項)
甲乙間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを確認する。

第10条(強制執行の承諾)
乙は、本示談書に基づく金銭債務を履行しない場合、甲が乙の財産に対し
強制執行を行うことに異議を申し立てない。

第11条(合意管轄)
本示談に関する紛争については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上の約定を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各1通を保有する。

甲:○○ ○○  印
乙:○○ ○○  印

立会人:○○ ○○  印

【実践】よくある失敗事例とトラブル回避術

失敗事例1:慰謝料額の設定ミス

事例 「夫の不倫相手に対し、感情的になって1000万円の慰謝料を要求。示談書も作成したが、後日『金額が相場を大幅に超えており、無効だ』と主張され、結局50万円での再示談になった」

原因分析 不倫慰謝料の相場(50万円~300万円)を大幅に超える金額設定により、公序良俗違反として無効主張の根拠を与えてしまった。

回避策

  • 慰謝料相場の事前調査を徹底する
  • 婚姻期間、不倫期間、主導性、反省度などの要素を客観的に評価
  • 相場を超える場合は具体的な損害根拠を明文化

失敗事例2:支払い条件の曖昧さ

事例 「『可能な範囲で毎月支払う』という曖昧な条項で示談書を作成。相手は『今月は厳しい』と毎回言い訳をし、結局ほとんど支払われなかった」

原因分析 支払い義務の具体性を欠いた条項により、法的強制力が著しく低下。

回避策

  • 支払い金額、支払い日、支払い方法を明確に規定
  • 期限の利益喪失条項を必ず設ける
  • 遅延損害金の規定を忘れずに記載

失敗事例3:証拠能力の不足

事例 「パソコンで作成した示談書に署名だけして、印鑑は押さなかった。後日相手が『署名を強制された』と主張し、筆跡鑑定でも争いになった」

原因分析 印鑑による押印がないため、本人確認と意思確認の証拠が不十分。

回避策

  • 必ず実印で押印し、印鑑証明書を添付
  • 可能であれば公証人の面前で署名押印
  • 示談交渉の録音データを保存(相手の同意が必要)

失敗事例4:法的要件の不備

事例 「示談書に『今後一切の責任を免除する』とだけ記載し、具体的な債権債務について触れなかった。後日別の損害について追加請求され、示談書では対抗できなかった」

原因分析 清算条項が不十分で、示談の対象範囲が不明確。

回避策

  • 清算条項で対象となる債権債務を具体的に列挙
  • 「本示談書に定めるもののほか」という包括的表現を使用
  • 将来の類似トラブルも対象に含める旨を明記

失敗事例5:相手方の支払い能力未確認

事例 「300万円の慰謝料で示談したが、相手は実は多重債務者で支払い能力がなかった。示談書はあるが、実際の回収は困難な状況」

原因分析 示談交渉前の信用調査を怠り、実現不可能な条件で合意。

回避策

  • 相手方の収入証明書類の提出を求める
  • 不動産や預貯金などの資産状況を確認
  • 支払い能力に応じた現実的な金額設定

【深掘り解説】示談交渉を有利に進めるコツ

交渉前の準備

1. 証拠の整理と評価

  • 不倫の証拠(写真、メール、通話記録等)の証拠能力を客観評価
  • 精神的苦痛の程度を示す資料(診断書、通院記録等)の準備
  • 婚姻関係や家族状況を証明する書類の収集

2. 相場の調査 慰謝料相場の調査は以下の要素を総合的に検討します。

要素慰謝料への影響具体例
婚姻期間長いほど高額20年以上:+50万円程度
不倫期間長いほど高額2年以上:+30万円程度
不倫の主導性積極的なほど高額誘惑した側:+20万円程度
社会的地位高いほど高額経営者・医師等:+30万円程度
反省の程度低いほど高額開き直り:+20万円程度

交渉戦術

【専門家の視点】感情vs論理のバランス

示談交渉では感情的になりがちですが、以下の原則を守ることが重要です。

感情面での配慮

  • 相手の謝罪の姿勢を評価し、一定の譲歩を示す
  • 完全な敵対関係ではなく、「問題解決のパートナー」として位置づける
  • 相手の経済状況や家族事情にも一定の配慮を示す

論理面での徹底

  • 法的根拠に基づいた主張を展開
  • 客観的証拠に基づく事実認定
  • 相場との整合性を重視した条件提示

交渉の進め方

段階的アプローチ

  1. 第1段階:事実確認
    • 不倫の事実について相手の認識を確認
    • 証拠を提示し、否認の余地をなくす
    • 謝罪の意思と責任感を確認
  2. 第2段階:損害の説明
    • 精神的苦痛の具体的内容を説明
    • 夫婦関係や家族関係への影響を説明
    • 社会的信用への影響を説明
  3. 第3段階:条件提示
    • 慰謝料額の根拠を論理的に説明
    • 支払い方法について相手の希望を聞く
    • その他の条件(接触禁止等)について合意形成
  4. 第4段階:示談書作成
    • 合意内容を文書化
    • 曖昧な表現を排除し、具体的に記載
    • 双方が納得できる最終条件を確定

専門家に依頼すべきケースの判断基準

必ず専門家に依頼すべきケース

1. 高額慰謝料案件(500万円以上) 法的リスクが高く、示談書の不備による損失が大きいため、弁護士への依頼が必須。

2. 相手が弁護士を立てている場合 知識と経験の差により不利になる可能性が高いため、対等な交渉のため専門家が必要。

3. DVや脅迫の要素がある場合 身の安全を確保しながらの交渉が必要で、法的保護措置も検討する必要がある。

4. 離婚も検討している場合 慰謝料、財産分与、親権等を総合的に検討する必要があり、専門的判断が不可欠。

自分で対応可能なケース

1. 少額慰謝料案件(100万円以下) 弁護士費用との兼ね合いを考慮し、自分で対応する方が経済的。

2. 相手が素直に応じている場合 争点が少なく、合意形成が容易な場合は自分で対応可能。

3. 時間的余裕がある場合 急いで解決する必要がなく、十分な準備時間が確保できる場合。

示談書作成から締結までの完全ステップ

ステップ1:事前準備(1~2週間)

必要書類の収集

  • 不倫の証拠資料
  • 戸籍謄本(婚姻関係の証明)
  • 相手方の住民票(住所確認)
  • 印鑑証明書(本人確認)

相場調査と条件設定

  • 類似ケースの慰謝料相場調査
  • 相手方の支払い能力調査
  • 自分の希望条件と妥協点の整理

ステップ2:初期交渉(2~4週間)

相手方への連絡

件名:お話ししたいことがあります

○○様

突然のご連絡失礼いたします。
○○の件でお話ししたいことがございます。
お時間を作っていただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

面談の設定

  • 中立的な場所(カフェ、ファミリーレストラン等)
  • 平日の日中が望ましい
  • 1対1での話し合いを基本とする

ステップ3:条件交渉(1~3週間)

交渉のポイント

  • 感情的にならず、冷静に対応
  • 相手の立場も理解する姿勢を示す
  • 法的根拠を示しながら説得
  • Win-Winの解決策を模索

ステップ4:示談書作成(1週間)

下書き作成

  • テンプレートを参考に条項を作成
  • 合意内容を正確に反映
  • 法的要件を満たしているか確認

相手方への提示

  • 下書きを提示し、修正点を協議
  • 双方が納得できる内容に調整
  • 最終版の確定

ステップ5:示談書締結(1日)

署名押印の実施

  • 実印での押印を原則とする
  • 印鑑証明書の添付
  • 2通作成し、各自1通ずつ保管

【専門家の視点】締結時の注意点

  • 相手が酔っている状態での署名は避ける
  • 強迫や詐欺と受け取られる行為は厳禁
  • 可能であれば第三者立会いのもとで実施

よくある質問(Q&A)

Q1:示談書に印鑑は必要ですか?

A: 法的には署名だけでも有効ですが、実印での押印を強く推奨します。理由は以下の通りです。

  • 本人確認の証拠能力が高まる
  • 意思確認の証拠として有効
  • 後日の争いを防止できる
  • 裁判での証拠能力が向上

Q2:示談書を作成すれば、絶対に支払ってもらえますか?

A: 示談書は支払い義務を証明する重要な文書ですが、支払いを保証するものではありません

支払いを確実にする方法

  • 公正証書での作成を検討
  • 連帯保証人を立てる
  • 担保提供を求める
  • 分割払いの場合は期限の利益喪失条項を設ける

Q3:慰謝料の相場はどのくらいですか?

A: 不倫慰謝料の一般的相場は50万円~300万円ですが、以下の要因により変動します。

高額になる要因

  • 婚姻期間が長い(20年以上)
  • 不倫期間が長い(2年以上)
  • 不倫相手が主導的立場
  • 夫婦関係が良好だった
  • 子どもがいる

低額になる要因

  • 婚姻期間が短い
  • 夫婦関係が既に悪化していた
  • 不倫相手が既婚者だった
  • 相手が深く反省している

Q4:示談書の有効期限はありますか?

A: 示談書自体に有効期限はありませんが、慰謝料請求権には時効があります。

時効期間

  • 不倫の事実と相手を知った時から3年
  • 不倫行為から20年(除斥期間)

時効中断の方法

  • 裁判上の請求
  • 相手方の承認
  • 差押え等の強制執行

Q5:相手が示談書の内容を守らない場合はどうすればいいですか?

A: 以下の手順で対応することをお勧めします。

第1段階:任意の催促

  • 内容証明郵便による支払い催促
  • 遅延損害金の計算と請求
  • 履行期限の再設定

第2段階:法的手続き

  • 支払督促の申立て
  • 少額訴訟の提起
  • 通常訴訟の提起

第3段階:強制執行

  • 債務名義の取得
  • 財産調査の実施
  • 差押えの実行

Q6:示談後に新たな不倫が発覚した場合は?

A: 示談書の清算条項の内容によって対応が変わります。

別件として扱える場合

  • 示談後に開始された新たな不倫
  • 示談時に知らなかった別の相手との不倫
  • 示談の対象期間外の不倫

示談で解決済みとなる場合

  • 示談対象期間内の同一相手との不倫
  • 包括的清算条項がある場合

Q7:夫婦で合意していれば、どんな高額でも請求できますか?

A: 公序良俗に反する金額は無効になる可能性があります。

問題となる可能性がある金額

  • 相場の10倍を超える金額(3000万円以上)
  • 相手の支払い能力を大幅に超える金額
  • 社会通念上著しく不相当な金額

適正な金額設定のポイント

  • 類似事例との比較検討
  • 相手の収入・資産状況の考慮
  • 損害の程度との均衡性

まとめ:あなたに最適な選択肢はどれ?

示談書を自分で作成すべき人

こんな状況のあなたにおすすめ

  • 慰謝料額が300万円以下で、相手が支払い意思を示している
  • 基本的な法律知識を学ぶ時間と意欲がある
  • 弁護士費用を節約したい
  • 相手との直接交渉が可能な関係性を維持している

期待できる効果

  • 弁護士費用20~50万円の節約
  • 迅速な問題解決(1~2ヶ月)
  • プライバシーの保護
  • 当事者間での納得のいく解決

専門家に依頼すべき人

こんな状況のあなたは専門家へ

  • 慰謝料額が500万円以上の高額案件
  • 相手が支払いを拒否または渋っている
  • 離婚も同時に検討している
  • DVや脅迫などの要素が含まれている

期待できる効果

  • 法的に完璧な示談書の作成
  • 有利な条件での交渉成立
  • 確実な権利保護
  • 精神的負担の軽減

【最終アドバイス】成功する示談書作成のために

示談書の自作は決して不可能ではありませんが、**「完璧を求めすぎず、現実的な解決を目指す」**ことが重要です。

成功のための3つの心得

  1. 感情と論理のバランス:怒りや悲しみは自然な反応ですが、冷静な判断力を保つ
  2. 相場感の重視:過度な要求は相手の反発を招き、交渉を長期化させる
  3. 完璧よりも実行性:100点の示談書よりも、80点でも確実に履行される合意を目指す

もしもこの記事を読んで「やはり自分では難しい」と感じられた場合は、遠慮なく専門家にご相談ください。あなたの状況に最も適した解決方法が必ず見つかります。

一人で悩まず、まずは行動を起こすことから始めましょう。真実を知り、次のステップへ進むための第一歩を、今日から踏み出してください。