総合探偵社選び完全ガイド – 元刑事が教える失敗しない探偵依頼の全て

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監修者プロフィール 田中 誠(仮名)- 元警視庁刑事部捜査一課刑事(15年勤務)、大手探偵事務所調査部門責任者(10年勤務)。探偵業届出証明・第一級調査指導技能士保有。浮気・不倫調査、人探し・家出人調査、企業信用調査など通算3,000件以上の調査を指揮・担当。現在は探偵情報メディアの監修者として、業界の透明化に尽力している。


  1. はじめに – あなたの不安と向き合う
  2. 第1章:探偵業界の現実 – 理想と現実のギャップを知る
    1. 1-1. 探偵業界の構造と実態
    2. 1-2. 「成功率99%」の広告は本当か
    3. 1-3. 探偵に依頼してはいけないケース
  3. 第2章:料金体系の真実 – 隠されたコストを見抜く
    1. 2-1. 主要な料金体系とそれぞれの落とし穴
    2. 2-2. 隠れた費用項目の実態
    3. 2-3. 適正価格の判断基準
  4. 第3章:信頼できる探偵社を見抜く5つの眼
    1. 3-1. 探偵業届出証明書の確認方法
    2. 3-2. 面談時に確認すべき重要事項
    3. 3-3. 口コミ・評判の正しい読み方
    4. 3-4. 無料相談の活用方法
    5. 3-5. 悪徳業者を回避する3つの鉄則
  5. 第4章:調査の種類と成功率の現実
    1. 4-1. 浮気・不倫調査の実態
    2. 4-2. 人探し・家出人調査の現実
    3. 4-3. 企業・信用調査の特殊性
  6. 第5章:法的リスクと対処法 – 知らないでは済まされない重要事項
    1. 5-1. 探偵業法の理解と遵守
    2. 5-2. プライバシー権との兼ね合い
    3. 5-3. 証拠能力と法的有効性
    4. 5-4. 調査がバレた場合のリスク管理
  7. 第6章:相談から契約までの完全フロー
    1. 6-1. 初回相談の準備と心構え
    2. 6-2. 見積もり比較の正しい方法
    3. 6-3. 契約書の重要チェックポイント
    4. 6-4. 調査開始前の最終確認
  8. 第7章:調査中の注意点と依頼者の心構え
    1. 7-1. 調査期間中の依頼者の行動指針
    2. 7-2. 中間報告の活用方法
    3. 7-3. 調査バレのリスク管理
    4. 7-4. 精神的ケアの重要性
  9. 第8章:調査結果の受け取りと活用方法
    1. 8-1. 調査報告書の読み方
    2. 8-2. 法的手続きでの証拠活用
    3. 8-3. 調査結果を受けての人生の選択
    4. 8-4. アフターサービスの活用
  10. 第9章:よくある質問と専門家の回答
    1. 9-1. 料金・費用に関するQ&A
    2. 9-2. 調査方法・技術に関するQ&A
    3. 9-3. 法的問題に関するQ&A
    4. 9-4. 業者選びに関するQ&A
  11. 第10章:まとめ – あなたの人生を取り戻すために
    1. 10-1. 本記事のポイント整理
    2. 10-2. 費用対効果の現実的な判断
    3. 10-3. 調査後の人生設計
    4. 10-4. 最後のメッセージ – あなたへの応援

はじめに – あなたの不安と向き合う

パートナーの行動に違和感を覚え、夜も眠れない日々を過ごしていませんか。長年連絡の取れない大切な人を探したいと思いながらも、どこから手をつけていいか分からずに時間だけが過ぎていませんか。

私は元刑事として、そして探偵事務所の責任者として、25年間にわたって「真実を知りたい」という人々の切実な願いと向き合ってきました。警察では「民事不介入」として扱えない事案を、探偵という立場で数多く解決してきた経験があります。

しかし同時に、悪徳業者に騙され、高額な費用を請求されて心身ともに傷ついた依頼者も数多く見てきました。この記事は、そんな私の経験をすべて注ぎ込み、あなたが信頼できる探偵社を見つけ、適正な費用で確実な調査を受けられるよう、包み隠さずお伝えするものです。

真実を知ることは辛いかもしれません。しかし、それはあなたの人生を取り戻すための、そして前に進むための、不可欠な第一歩なのです。

第1章:探偵業界の現実 – 理想と現実のギャップを知る

1-1. 探偵業界の構造と実態

探偵業法が施行された2007年以降、全国で約5,000を超える探偵業者が届出を行っています(警察庁統計)。しかし、その中で継続的に営業し、確実な調査能力を持つ業者は実際のところ、全体の2割程度というのが現実です。

私が刑事時代に接した違法調査事件の多くは、届出は行っているものの、実際の調査能力に乏しい業者によるものでした。たとえば、2019年に担当した事件では、「成功報酬制」を謳う業者が、実際には何の調査も行わずに着手金30万円を詐取していたケースがありました。

1-2. 「成功率99%」の広告は本当か

ネット広告でよく見かける「調査成功率99%」という表現について、率直にお話しします。これは統計の取り方によっていくらでも操作可能な数字です。

私が責任者として担当した調査3,000件の実績を振り返ると、実際の成功率は以下のようになります:

  • 浮気・不倫調査: 約75%(証拠となる写真・動画の取得まで)
  • 人探し調査: 約45%(所在確認まで)
  • 素行調査: 約80%(行動パターンの把握まで)
  • 企業信用調査: 約90%(資料収集・聞き込み調査)

この数字には、調査対象者の警戒心の高さ、依頼者から提供された情報の精度、調査期間・予算の制約など、様々な要因が影響します。「99%成功」と謳う業者には、必ずその根拠を確認することをお勧めします。

1-3. 探偵に依頼してはいけないケース

探偵である私がお伝えするのも矛盾しているかもしれませんが、探偵に依頼すべきでないケースも存在します。

法的に調査が不可能なケース:

  • 他人のメールアカウント・SNSへの不正ログイン
  • GPS機器の無断取り付け(配偶者の車両であっても法的にグレーゾーン)
  • 住居侵入を伴う調査
  • ストーカー目的の調査

費用対効果が見込めないケース:

  • 手がかりが全くない10年以上前の人探し
  • 予算10万円以下での浮気調査(現実的な調査期間を確保できない)
  • 相手が既に警戒している状態での尾行調査

刑事時代の経験から言えば、違法な手段で得た証拠は法廷では無価値どころか、逆に不利になることがあります。適法な範囲内での調査を行う業者を選ぶことが何より重要です。

第2章:料金体系の真実 – 隠されたコストを見抜く

2-1. 主要な料金体系とそれぞれの落とし穴

探偵社の料金体系は主に以下の3つに分けられます。それぞれのメリット・デメリットを、実際の事例とともにご説明します。

時間制料金(1時間1万円〜3万円)

これは最も一般的な料金体系で、調査員の稼働時間に応じて課金されます。

実際のケース: Aさん(40代女性)は夫の浮気を疑い、時間制料金の探偵社に依頼しました。1時間2万円、調査員2名体制で、1日8時間の調査を3日間実施。基本料金は96万円でしたが、そこに諸経費(交通費、機材使用料、報告書作成費)として15万円が追加され、総額111万円となりました。

注意すべきポイント:

  • 最低調査時間の設定(3時間未満は3時間として請求など)
  • 移動時間も調査時間に含める業者がある
  • 深夜・早朝の割増料金
  • 諸経費の内訳が不明確

パック料金(30万円〜80万円)

一定期間の調査を定額で提供するシステムです。

実際のケース: Bさん(50代男性)は息子の家出先を探すため、7日間パック50万円のプランを選択しました。しかし3日目で息子を発見したにも関わらず、返金はありませんでした。一方で、7日間では解決しなかったCさんのケースでは、追加料金として30万円を請求されました。

メリット・デメリット:

  • メリット:予算が明確、長期調査では割安になる場合がある
  • デメリット:早期解決時の返金システムが不明確、期間内で解決しない場合の追加料金

成功報酬制(着手金10万円〜30万円+成功報酬30万円〜100万円)

調査が成功した場合のみ成功報酬を支払うシステムですが、「成功」の定義が業者によって異なります。

実際のトラブル事例: Dさんは夫の浮気調査を成功報酬制で依頼。「不貞の証拠撮影」を成功条件として契約しましたが、業者は「対象者が女性と会っている写真」を撮影しただけで成功報酬80万円を請求。その女性は実際には夫の同僚で、単なる仕事上の会食でした。

2-2. 隠れた費用項目の実態

25年の経験で見てきた、契約時には説明されない隠れた費用項目をご紹介します。

よくある追加費用項目:

  1. 機材使用料: カメラ、GPS、盗聴器発見器など
  2. 交通費: 調査員の移動費、対象者追跡時の電車・タクシー代
  3. 宿泊費: 遠方調査時のホテル代
  4. 報告書作成費: 写真現像、動画編集、文書作成
  5. 証拠保全費: データのバックアップ、法的書類の作成
  6. 裁判支援費: 証人出廷、証拠説明書の作成

私が監修する調査では、これらの費用も含めた「総額」を契約前に必ず提示するよう指導しています。優良な探偵社であれば、想定される全ての費用を事前に説明できるはずです。

2-3. 適正価格の判断基準

実際の調査にかかるコストを元に、適正価格の目安をお示しします。

浮気・不倫調査(証拠取得まで):

  • 調査期間:5〜10日
  • 適正価格:50万円〜120万円
  • 内訳:調査員人件費60%、機材・経費30%、利益10%

人探し調査(所在確認まで):

  • 調査期間:10〜30日
  • 適正価格:30万円〜80万円
  • 手がかりの多さにより大きく変動

極端に安い料金を提示する業者は、後から高額な追加料金を請求する可能性が高いです。また、相場の2倍以上の高額料金を請求する業者も、適正な調査を行わない場合があります。

第3章:信頼できる探偵社を見抜く5つの眼

3-1. 探偵業届出証明書の確認方法

探偵業法により、すべての探偵業者は都道府県公安委員会への届出が義務付けられています。しかし、届出番号を偽装している業者も存在するため、正しい確認方法をお教えします。

確認すべきポイント:

  1. 届出番号の形式(例:東京都公安委員会 第30XXXXXX号)
  2. 有効期限(5年ごとの更新)
  3. 事務所での掲示義務(来訪時に必ず確認)

私が刑事時代に摘発した偽装業者の手口として、存在しない届出番号を使用したり、他社の番号を無断使用したりするケースがありました。不安な場合は、該当する公安委員会に直接確認することをお勧めします。

3-2. 面談時に確認すべき重要事項

初回面談は、その業者の信頼性を判断する最も重要な機会です。私が依頼者に推奨している確認事項をご紹介します。

調査方法の具体的説明

優良な探偵社であれば、以下の質問に具体的に答えられるはずです:

質問例:

  • 「尾行時に発見された場合の対処法は?」
  • 「証拠となる写真の判定基準は?」
  • 「調査報告書のサンプルを見せてもらえますか?」
  • 「過去の類似事例での成功・失敗例は?」

危険な業者の回答例:

  • 「企業秘密なので詳しくは言えません」
  • 「100%成功するので心配ありません」
  • 「違法かもしれませんが確実な方法があります」

契約書の内容

探偵業法では、書面による契約締結が義務付けられています。以下の項目が明記されていない契約書は危険です:

  1. 調査の目的・内容
  2. 調査期間・時間
  3. 調査料金・支払い方法
  4. 調査結果の報告方法
  5. 秘密保持に関する事項
  6. 契約解除に関する事項

3-3. 口コミ・評判の正しい読み方

インターネット上の口コミには、業者が自作したものや、競合他社による誹謗中傷も含まれています。25年の経験から、信頼できる評判の見分け方をお教えします。

信頼できる口コミの特徴:

  • 具体的な調査内容や期間が記載されている
  • 良い点だけでなく、改善点も指摘している
  • 投稿者の状況や背景が具体的に書かれている
  • 感情的すぎず、客観的な記述

疑わしい口コミの特徴:

  • 絶賛ばかりで具体性に欠ける
  • 短期間に大量の同様な投稿
  • 他社の誹謗中傷が含まれている
  • 極端に安い料金の記載

3-4. 無料相談の活用方法

多くの探偵社が無料相談を提供していますが、これを効果的に活用することで、業者の質を見極めることができます。

無料相談で確認すべき内容:

  1. 相談時の対応態度
    • 依頼者の話を最後まで聞くか
    • 不安や疑問に丁寧に答えるか
    • 契約を急かさないか
  2. 提案内容の妥当性
    • 予算や期間に応じた現実的な提案
    • リスクやデメリットの説明
    • 複数の選択肢の提示
  3. 法的知識の確認
    • 探偵業法の理解度
    • 証拠能力に関する知識
    • プライバシー保護への配慮

私の経験では、優良な探偵社ほど、依頼者に対して冷静な判断を促し、時には調査以外の解決方法を提案することもあります。

3-5. 悪徳業者を回避する3つの鉄則

25年間で遭遇した悪徳業者の手口をもとに、絶対に避けるべき業者の特徴をお教えします。

鉄則1:即日契約を迫る業者は避ける

典型的な手口: 「今日契約していただければ30%割引」「明日から調査を開始しないと証拠が消えてしまう」といった緊急性を煽る発言。

実際の事例: Eさんは夫の浮気を疑い、ある探偵社に相談。「今すぐ契約しないと浮気相手と逃げられる」と急かされ、その場で80万円の契約を締結。しかし実際には何の調査も行われず、連絡も取れなくなりました。

優良な探偵社であれば、依頼者に十分な検討時間を与え、他社との比較検討も推奨するはずです。

鉄則2:料金の内訳を明確にしない業者は危険

危険な料金提示例:

  • 「調査一式:50万円」
  • 「成功報酬込み:パック料金」
  • 「詳細は契約後に説明」

安全な料金提示例:

  • 調査員費用:時給2万円×2名×40時間=160万円
  • 機材使用料:5万円
  • 交通費・諸経費:10万円
  • 報告書作成費:5万円
  • 合計:180万円

鉄則3:違法調査を示唆する業者は絶対に避ける

以下のような提案をする業者は、探偵業法違反の可能性が高く、依頼者も共犯として処罰される危険があります:

  • 他人のスマートフォンにアプリをインストール
  • 住居侵入による証拠収集
  • 盗聴器の設置
  • 戸籍謄本の不正取得

私が刑事時代に扱った事件では、違法調査に関与した依頼者が書類送検されたケースもありました。短期的な成果を求めて違法行為に加担することは、長期的には大きなリスクとなります。

第4章:調査の種類と成功率の現実

4-1. 浮気・不倫調査の実態

25年間で最も多く扱った調査案件が浮気・不倫調査です。テレビドラマのような華々しい証拠取得場面とは程遠い、地道で忍耐強い作業の連続が現実です。

成功事例:証拠取得までの実際の流れ

Fさん(45歳女性)のケース:

1日目〜3日目:行動パターンの把握 夫(48歳会社員)の帰宅時間が不規則になったことから調査を依頼。まずは3日間、出勤から帰宅までの行動を記録。会社からの直帰は週の半分程度で、残りは都内某所で約2時間の空白時間があることが判明。

4日目〜7日目:対象者の警戒レベル確認 尾行調査を実施。対象者は特に警戒している様子もなく、決まった駅で下車し、徒歩でマンションへ向かうルートを確認。この段階で、継続的な関係の可能性が高いと判断。

8日目:決定的証拠の取得 対象者がマンションから30代女性と手を繋いで出てくる場面を撮影。その後、ラブホテルに入る場面、約2時間後に出てくる場面を連続して記録。法的に不貞行為の証拠として十分な映像を取得。

調査期間:8日間 総費用:65万円 結果:離婚調停で慰謝料300万円を獲得

失敗事例:証拠取得に至らなかったケース

Gさん(38歳男性)のケース:

妻の帰宅時間の変化から浮気を疑い調査を依頼。しかし以下の要因により、決定的証拠の取得に至りませんでした:

  1. 対象者の高い警戒心:過去に夫婦間でトラブルがあり、妻が常に周囲を確認する習慣
  2. 限定的な予算:30万円の予算制約により、十分な調査期間を確保できず
  3. 調査対象の行動の変化:調査開始後、対象者の行動パターンが突然変化

調査期間:5日間 総費用:30万円 結果:疑わしい行動は確認できたが、法的証拠としては不十分

このケースから学べる教訓は、証拠取得には対象者の警戒心のレベル、調査期間の十分性、そして運も大きく影響するということです。

4-2. 人探し・家出人調査の現実

人探し調査は、手がかりの多さと調査開始までの時間が成功率に大きく影響します。

成功率に影響する要因

成功率が高いケース(70%以上):

  • 失踪から1週間以内の調査開始
  • 携帯電話、SNSアカウントの情報が利用可能
  • 友人・知人からの協力が得られる
  • 過去の行動パターンが明確

成功率が低いケース(30%以下):

  • 失踪から6ヶ月以上経過
  • 意図的な失踪(借金逃れ、犯罪関与など)
  • 精神的疾患による記憶混濁状態
  • 海外への移住の可能性

実際の成功事例

Hさん(60歳女性)のケース:認知症の夫の捜索

認知症初期の夫(65歳)が散歩に出たまま3日間帰宅せず。警察にも捜索願を提出したが、事件性がないため積極的な捜索は期待できない状況。

調査手法:

  1. 過去の行動パターン分析:夫の散歩コース、立ち寄り先を家族から聞き取り
  2. 地域住民への聞き込み:写真を持参し、商店、駅員、通行人に聞き込み
  3. 交通機関の利用確認:ICカードの履歴から移動経路を特定
  4. 医療機関・福祉施設への照会:保護されている可能性を確認

結果: 調査開始から36時間後、隣県の福祉施設で保護されていることが判明。認知症により道に迷い、親切な通行人により施設に保護されていた。

調査期間:2日間 総費用:15万円

4-3. 企業・信用調査の特殊性

企業間取引や個人の信用状況を調査する場合、法的制約が最も厳しい分野です。

調査可能な範囲

合法的に調査できる情報:

  • 商業登記簿、不動産登記簿等の公開情報
  • 新聞、雑誌、インターネット上の公開情報
  • 取引先、同業者からの聞き込み(適法な範囲内)
  • 外観調査、周辺環境の確認

調査が困難または違法な情報:

  • 銀行口座残高、取引履歴
  • 個人信用情報(CIC、JICC等の情報)
  • 税務申告書、確定申告書
  • プライベートな交友関係

私が担当した企業信用調査では、公開情報の収集と分析が成功の鍵となります。一見地味な作業ですが、経験豊富な調査員が行えば、相当詳細な企業実態を把握することが可能です。

第5章:法的リスクと対処法 – 知らないでは済まされない重要事項

5-1. 探偵業法の理解と遵守

探偵業法は2007年に施行され、探偵業の適正化を図るための法律です。依頼者も知っておくべき重要なポイントをご説明します。

探偵が行ってはいけない調査

第7条で禁止されている行為:

  1. 違法行為の請負:住居侵入、窃盗、盗聴等
  2. 差別につながる調査:出身地、家族構成等による人権侵害
  3. ストーカー行為の助長:一方的な恋愛感情に基づく調査

私が刑事時代に摘発した事例では、探偵を名乗る業者が元交際相手のストーカー調査を請け負い、対象者の自宅に盗聴器を設置したケースがありました。この場合、業者だけでなく依頼者も共犯として処罰される可能性があります。

依頼者の責任と義務

探偵業法では、依頼者にも一定の責任が課せられています:

第6条(依頼者の本人確認):

  • 運転免許証等による身分証明書の提示義務
  • 調査目的の明確化
  • 虚偽申告の禁止

依頼者が虚偽の目的を申告した場合: 実際に起きた事例として、Iさん(30代男性)は「元妻の安否確認」として人探し調査を依頼しましたが、実際にはストーカー目的でした。真実が発覚した時点で契約解除となり、既に支払った費用の返還も拒否されました。

5-2. プライバシー権との兼ね合い

調査活動は必然的に他人のプライバシーに関わるため、法的グレーゾーンも多く存在します。

肖像権・プライバシー権の境界

適法とされる撮影:

  • 公道、公園等の公共の場所での撮影
  • 不特定多数が立ち入り可能な商業施設での撮影
  • 車両ナンバープレートの撮影

違法の可能性が高い撮影:

  • 住居内部の撮影(望遠レンズ使用含む)
  • 更衣室、トイレ等のプライベート空間
  • 医療機関受診時の撮影

実際の裁判例では、浮気調査における公道での撮影について、「社会通念上相当な範囲内」であれば適法とされるケースが多いですが、過度に私生活に踏み込んだ調査は違法とされる可能性があります。

GPS追跡の法的問題

近年特に問題となっているのが、GPS機器を使用した追跡調査です。

2021年の最高裁判決のポイント:

  • 配偶者の車両であっても、無断でのGPS取り付けは違法
  • 令状なしでの継続的位置情報取得は憲法違反の可能性
  • プライバシーの合理的期待に反する調査手法

この判決を受けて、多くの探偵社がGPS調査を取りやめるか、より慎重な運用に変更しています。私が監修する調査でも、GPS使用は原則として行わず、従来の尾行・張り込み手法を中心としています。

5-3. 証拠能力と法的有効性

せっかく高額な費用を支払って証拠を取得しても、法的に無効とされてしまっては意味がありません。

民事訴訟における証拠能力

有効な証拠として認められやすいもの:

  1. 不貞行為の決定的証拠:ラブホテル出入りの継続的記録
  2. 第三者による目撃証言:信頼性の高い証人の証言
  3. 物的証拠:適法に取得されたメール、写真等
  4. 録音・録画:当事者間の会話記録(一方の同意があれば適法)

証拠能力に疑問符がつくもの:

  1. 違法手段で取得した証拠:住居侵入、盗聴等
  2. 改ざんの可能性があるデジタル証拠:加工された写真・動画
  3. プライバシー権を著しく侵害した証拠:過度な監視記録
  4. 偽装された証拠:演出された場面の撮影

実際の裁判での証拠採用例

平成31年東京地裁判決(不貞行為認定事例):

  • 探偵による継続的尾行調査
  • 3回以上のラブホテル出入り記録
  • 写真の撮影日時・場所が明確
  • 調査手法が適法かつ社会通念上相当

証拠として採用された理由:

  1. 調査方法が法的に問題なし
  2. 証拠の連続性・信頼性が高い
  3. 不貞行為の立証に十分な内容
  4. 第三者(探偵)による客観的記録

→結果:慰謝料200万円の支払い命令

5-4. 調査がバレた場合のリスク管理

調査が対象者に発覚した場合の法的リスクと対処法について、実例をもとにご説明します。

発覚時の一般的なリスク

民事上のリスク:

  • プライバシー侵害による損害賠償請求
  • 精神的苦痛に対する慰謝料請求
  • 離婚調停での不利な立場

刑事上のリスク:

  • ストーカー規制法違反(継続的つきまとい)
  • 住居侵入罪(敷地内への無断立ち入り)
  • 軽犯罪法違反(のぞき見等)

実際のトラブル事例と対処法

Jさん(42歳女性)のケース: 夫の不倫調査中、調査員が対象者(夫)に発見され、「ストーカー行為だ」として警察に通報された事例。

対処の流れ:

  1. 即座に調査中止:これ以上の接触を避ける
  2. 弁護士への相談:法的リスクの評価と対策検討
  3. 証拠保全:既に取得した証拠の適法性確認
  4. 和解交渉:必要に応じて示談による解決

結果: 既に取得していた証拠(適法な公道での撮影)は有効とされ、離婚調停では依頼者有利な条件で和解成立。ただし、調査費用とは別に弁護士費用30万円が必要となった。

このケースから学べる教訓は、調査開始前にリスクを十分に検討し、発覚時の対処法も含めて契約内容を確認しておくことの重要性です。

第6章:相談から契約までの完全フロー

6-1. 初回相談の準備と心構え

探偵社への相談は、多くの方にとって人生初の体験です。効果的な相談を行うための準備をご説明します。

相談前に整理すべき情報

基本情報の整理:

  1. 調査対象者の詳細:氏名、年齢、職業、住所、写真
  2. 疑問を持った経緯:いつから、どのような変化があったか
  3. 既に把握している事実:時系列での整理
  4. 調査の目的:証拠取得、所在確認、真実確認等
  5. 予算と期間:現実的な範囲での希望

持参すべき資料:

  • 対象者の写真(できるだけ最近のもの)
  • 関連する書類(メール、手帳、レシート等)
  • 身分証明書(本人確認用)
  • 印鑑(契約の可能性を考慮)

相談時の質問リスト

25年の経験から、初回相談で必ず確認すべき質問をまとめました:

調査内容について:

  1. 「この案件の成功見込みはどの程度ですか?」
  2. 「調査期間はどのくらいを想定していますか?」
  3. 「どのような証拠が取得できる可能性がありますか?」
  4. 「調査がバレるリスクはありますか?」

料金について:

  1. 「総額でいくらかかりますか?」
  2. 「追加料金が発生する可能性はありますか?」
  3. 「支払い方法はどうなりますか?」
  4. 「途中解約の場合はどうなりますか?」

業者の信頼性について:

  1. 「探偵業届出証明書を見せてください」
  2. 「類似案件の実績はありますか?」
  3. 「調査員の経験年数はどの程度ですか?」
  4. 「秘密保持はどのように行われますか?」

6-2. 見積もり比較の正しい方法

複数の探偵社から見積もりを取ることで、適正価格と信頼できる業者を見極めることができます。

比較検討すべき項目

料金面での比較:

項目A社B社C社
基本料金40万円35万円60万円
調査員数2名1名2名
調査時間40時間30時間50時間
機材費込み別途5万円込み
報告書込み別途3万円込み
実質総額40万円43万円60万円

このように、一見安く見える料金でも、諸費用を含めると高額になる場合があります。

サービス面での比較:

  • 調査開始までの期間
  • 調査方法の具体性
  • 報告書の詳細度
  • アフターサービスの有無
  • 法的サポートの範囲

危険な見積もりの特徴

25年間で遭遇した問題のある見積もりの特徴をご紹介します:

極端に安い見積もり: 「浮気調査一式:10万円」といった相場の半分以下の料金。後から高額な追加料金を請求される可能性が高い。

内訳が不明確な見積もり: 「調査費用:50万円」とだけ記載され、人件費、機材費、経費の内訳が不明。

口約束での見積もり: 書面による見積もりを提供せず、「だいたい30万円くらい」といった曖昧な提示。

6-3. 契約書の重要チェックポイント

探偵業法では書面契約が義務付けられていますが、契約内容は業者によって大きく異なります。

必須記載事項の確認

探偵業法第8条で義務付けられた記載事項:

  1. 探偵業者の氏名・名称
  2. 探偵業届出証明書番号
  3. 調査内容
  4. 調査期間
  5. 調査料金・支払い方法
  6. 調査結果の報告方法
  7. 秘密保持に関する事項
  8. 契約解除に関する事項

これらの記載がない契約書は、探偵業法違反の可能性があります。

特に注意すべき条項

成功・失敗の定義: 「浮気の証拠取得」を成功条件とする場合、どの程度の証拠で「成功」とするかを明確に定義。曖昧な表現は後のトラブルの原因となります。

追加料金に関する条項: 「予期せぬ事態により追加料金が発生する場合がある」といった条項は危険。具体的にどのような場合に、いくらの追加料金が発生するかを明記すべきです。

契約解除の条件: 依頼者都合での解約時の返金規定、業者都合での解約時の補償について詳細に確認。

実際のトラブル事例

Kさん(35歳男性)のケース: 「成功報酬制」で妻の浮気調査を契約。「不貞行為の証拠撮影」を成功条件として契約しましたが、「対象者が異性と親密に話している写真」で成功報酬を請求されました。

問題の原因: 契約書の「成功」の定義が「不貞行為を推測させる証拠の取得」と曖昧に記載されていたため、業者に有利な解釈をされました。

対処結果: 弁護士を通じた交渉により、成功報酬の50%を返金させることができましたが、弁護士費用15万円が別途必要となりました。

6-4. 調査開始前の最終確認

契約締結後、調査開始前に確認すべき重要事項をご説明します。

調査計画の詳細確認

確認すべき内容:

  1. 調査スケジュール:開始日時、調査時間帯、期間
  2. 調査方法:尾行、張り込み、聞き込み等の具体的手法
  3. 調査員の配置:人数、経験年数、交代制の有無
  4. 機材の使用予定:カメラ、車両等の詳細
  5. 報告のタイミング:中間報告の頻度、最終報告の期限

緊急連絡体制の確立

調査中に予期せぬ事態が発生した場合の連絡体制を確認します:

連絡すべき状況:

  • 調査対象者に発覚した場合
  • 予定を大幅に超える状況が発生した場合
  • 危険な状況に遭遇した場合
  • 重要な証拠を発見した場合

連絡体制の例:

  • 調査責任者の携帯電話(24時間対応)
  • 事務所の緊急連絡先
  • 依頼者からの連絡方法と時間帯

私が監修する調査では、調査開始前に必ず「調査計画書」を作成し、依頼者との最終確認を行います。この段階での詳細な打ち合わせが、調査成功の鍵となることが多いのです。

第7章:調査中の注意点と依頼者の心構え

7-1. 調査期間中の依頼者の行動指針

調査が開始されると、依頼者の行動が調査の成否に大きく影響します。25年の経験から、調査期間中に注意すべきポイントをお伝えします。

してはいけない行動

対象者への態度変化: 最も多いトラブルが、調査開始後に依頼者の態度が変化することです。

実際の失敗事例: Lさん(43歳女性)は夫の浮気調査を依頼後、無意識に夫への態度が冷たくなりました。夫は妻の変化に気づき、携帯電話のロックを強化し、帰宅時間を不規則にするなど警戒を強めました。結果として、3週間の調査期間中、決定的な証拠を取得できませんでした。

正しい対応:

  • 普段通りの態度を維持する
  • 探偵調査について口外しない
  • 急に詮索的な質問をしない
  • スマートフォンを覗き見しない

第三者への相談: 調査期間中の精神的ストレスから、友人や家族に相談したくなる気持ちは理解できます。しかし、情報漏洩のリスクを考慮し、信頼できる少数の人にとどめることが重要です。

推奨される行動

証拠保全への協力:

  • 対象者の行動で気づいたことの記録
  • レシートや書類の保管
  • 通話履歴やメール履歴の確認(適法な範囲内)

調査員との連携:

  • 定期的な状況報告の確認
  • 追加情報の提供
  • スケジュール変更の速やかな連絡

7-2. 中間報告の活用方法

調査期間中の中間報告は、調査の進行状況を把握し、必要に応じて方針を修正する重要な機会です。

中間報告で確認すべき内容

調査進捗の詳細:

  1. 実施済み調査の具体的内容
  2. 取得済み情報・証拠の概要
  3. 対象者の行動パターンの変化
  4. 今後の調査予定と見通し
  5. 追加調査の必要性

費用の状況:

  • 使用済み予算の詳細
  • 予想される総費用
  • 追加費用の可能性

中間報告を受けての判断

調査継続の判断基準:

継続すべきケース:

  • 有力な手がかりが得られている
  • 対象者の行動パターンが把握できている
  • 予算内で目標達成の見込みがある

見直しを検討すべきケース:

  • 3分の1の期間を経過しても進展がない
  • 対象者の警戒が強まっている
  • 当初の想定と大きく状況が異なる

実際の調整事例: Mさんの夫の浮気調査では、中間報告で「対象者が平日の不審な行動を控え、週末に集中している」ことが判明。調査日程を平日中心から週末中心に変更した結果、効率的な証拠取得に成功しました。

7-3. 調査バレのリスク管理

調査が対象者に発覚することは、最も避けたい事態の一つです。発覚の兆候と対処法をご説明します。

発覚の兆候

対象者の行動変化:

  • 急に警戒的な行動を取るようになった
  • 普段と異なるルートで行動している
  • 携帯電話の扱いが慎重になった
  • 依頼者への質問が増えた

第三者からの情報:

  • 「誰かに見られているようだ」といった発言
  • 友人から「探偵らしき人を見た」という連絡
  • 職場での噂や話題

発覚時の対処法

即座の対応:

  1. 調査の一時中止:これ以上のリスクを避ける
  2. 状況の詳細確認:どの程度発覚しているかの把握
  3. 法的リスクの評価:弁護士への相談検討
  4. 今後の方針決定:調査継続の可否判断

実際の対処事例: Nさんの妻の素行調査で、対象者(妻)から「最近、変な車に尾行されている気がする」という発言があった事例。調査を即座に2週間中止し、対象者の警戒心が薄れるのを待って、異なる手法で調査を再開。最終的に目的を達成することができました。

7-4. 精神的ケアの重要性

調査期間中は、依頼者にとって精神的に非常に困難な時期です。適切なメンタルケアも重要な要素です。

調査期間中のストレス要因

不確実性への不安:

  • 結果がどうなるかわからない恐怖
  • 真実を知ることへの複雑な感情
  • 調査バレへの心配

日常生活への影響:

  • 対象者との関係での演技の疲労
  • 調査費用への経済的圧迫
  • 秘密を抱えることの孤独感

効果的なストレス管理法

専門家からのアドバイス: 私が調査責任者として心がけていることは、依頼者の精神状態への配慮です。技術的な調査だけでなく、人間的なサポートも探偵の重要な役割だと考えています。

推奨する対処法:

  1. 定期的な相談時間の確保:探偵社との密なコミュニケーション
  2. 信頼できる友人との時間:秘密を共有できる相手との対話
  3. 専門カウンセラーの利用:必要に応じて心理的サポートを受ける
  4. 趣味や運動でのストレス発散:調査以外のことに意識を向ける時間

避けるべき対処法:

  • アルコールや薬物での一時的な現実逃避
  • 対象者への感情的な confrontation
  • 衝動的な決断(離婚など重要な判断の先送り)

私の経験では、調査結果よりも、調査期間中の精神的な支えがその人の人生に大きな影響を与えることが多いのです。

第8章:調査結果の受け取りと活用方法

8-1. 調査報告書の読み方

調査が完了すると、探偵社から詳細な調査報告書が提供されます。この報告書を正しく理解し、有効活用する方法をご説明します。

標準的な調査報告書の構成

基本構成要素:

  1. 調査概要:依頼内容、調査期間、調査員数
  2. 調査方法:使用した手法、機材の詳細
  3. 時系列での調査記録:日時、場所、行動内容の詳細
  4. 取得証拠:写真、動画、音声記録等
  5. 調査結果の総括:客観的事実の整理
  6. 所見・意見:調査員の専門的見解(参考情報)

証拠価値の高い記録の特徴

25年の経験から、法的に有効性の高い調査記録の特徴をお教えします:

高品質な記録の条件:

  • 撮影日時の正確な記録:カメラの日時設定が正確
  • 場所の特定可能性:建物、看板等のランドマークが映っている
  • 対象者の顔が明確:本人確認が可能な鮮明度
  • 状況の連続性:一連の行動が時系列で記録されている
  • 第三者の証言:調査員による客観的な状況説明

実際の有効事例: Oさんの夫の不貞調査では、以下の証拠により離婚調停で有利な結果を得ました:

  • ラブホテル入店時刻:2023年4月15日 14:32
  • 同伴者:30代女性、顔が明確に判別可能
  • 滞在時間:2時間17分(出店時刻:16:49)
  • 撮影場所:ホテル正面玄関、街路からの適法撮影
  • 継続性:3回の同様な記録(4月15日、22日、29日)

8-2. 法的手続きでの証拠活用

調査結果を法的手続き(離婚調停、損害賠償請求等)で活用する場合の注意点をご説明します。

民事調停・裁判での証拠提出

証拠として採用されやすい形式:

  1. 原本の保管:デジタルデータの改ざん防止措置
  2. 撮影機材の情報:使用カメラ、設定情報の記録
  3. 調査員の証人出廷:必要に応じて法廷での証言
  4. 関連証拠との整合性:メール、通話履歴等との関連付け

慰謝料請求での活用方法

不貞行為による慰謝料請求の実例:

Pさん(38歳女性)のケース:

  • 調査費用:65万円
  • 取得証拠:夫と不倫相手の密会証拠(写真・動画)
  • 法的手続き:弁護士に依頼して慰謝料請求
  • 結果:夫から200万円、不倫相手から150万円の慰謝料取得
  • 実質的利益:350万円 – 65万円(調査費用)- 50万円(弁護士費用)= 235万円

人探し調査での活用例:

Qさん(55歳男性)のケース:

  • 調査内容:借金を残して失踪した元事業パートナーの所在確認
  • 調査費用:40万円
  • 取得情報:現住所、勤務先、資産状況
  • 法的手続き:債権回収のための民事訴訟
  • 結果:800万円の借金のうち300万円を回収

8-3. 調査結果を受けての人生の選択

調査結果を受け取った後の人生の選択は、依頼者にとって最も重要な局面です。

浮気調査後の選択肢

調査で不貞の事実が判明した場合の主な選択肢:

関係修復を選択する場合:

  • 夫婦カウンセリングの活用
  • 再発防止のためのルール設定
  • 信頼関係再構築への取り組み

実際の修復成功事例: Rさん夫婦は、夫の不倫が発覚後、専門カウンセラーの支援を受けて関係を修復。現在は以前より良好な関係を築いています。Rさんは「真実を知ることで、逆に問題と向き合えるようになった」と話しています。

離婚を選択する場合:

  • 慰謝料・財産分与の条件交渉
  • 子どもの親権・養育費の決定
  • 新生活の準備

人探し調査後の対応:

再会を果たした場合:

  • 関係修復への慎重なアプローチ
  • 失踪原因の理解と対処
  • 今後の関係性の再構築

所在は判明したが接触しない場合:

  • 安否確認による心の平安
  • 適切な距離感での見守り
  • 必要時の連絡手段の確保

8-4. アフターサービスの活用

調査完了後も、多くの探偵社がアフターサービスを提供しています。これらを有効活用する方法をご説明します。

一般的なアフターサービス

法的サポート:

  • 弁護士の紹介
  • 法的手続きのアドバイス
  • 証拠保全のサポート

心理的サポート:

  • カウンセラーの紹介
  • 継続的な相談対応
  • 同様の経験者との交流機会

アフターサービスの活用事例

Sさん(47歳女性)のケース: 夫の浮気調査完了後、探偵社の紹介で離婚専門弁護士に相談。調査報告書を証拠として活用し、有利な条件で離婚協議が成立。さらに、探偵社が紹介したカウンセラーの支援により、精神的な立ち直りも早期に実現できました。

私が監修している調査では、単に証拠を取得するだけでなく、依頼者の人生がより良い方向に向かうための総合的なサポートを心がけています。調査は終わりではなく、新しい人生のスタートなのです。

第9章:よくある質問と専門家の回答

9-1. 料金・費用に関するQ&A

25年間で最も多く寄せられた質問にお答えします。

Q1:浮気調査の相場はどのくらいですか?

A:調査内容により大きく異なりますが、決定的証拠取得までの目安として以下の通りです:

  • 短期集中型(3-5日):40万円~80万円
  • 標準型(1-2週間):60万円~120万円
  • 長期型(1ヶ月以上):100万円~200万円

私の経験では、極端に安い料金(30万円以下)や高額すぎる料金(200万円以上)を提示する業者は、何らかの問題がある場合が多いです。

Q2:成功報酬制は本当にお得ですか?

A:一概には言えません。成功報酬制の実態をご説明します:

成功報酬制の構造例:

  • 着手金:20万円
  • 成功報酬:60万円
  • 合計:80万円(成功時)

時間制の場合:

  • 1時間2万円×40時間×2名:160万円
  • 諸経費:20万円
  • 合計:180万円

一見すると成功報酬制が安く見えますが、「成功」の定義が重要です。実際のトラブル事例では、「疑わしい行動の確認」程度で成功報酬を請求されたケースもあります。

Q3:追加料金はどのような場合に発生しますか?

A:主な追加料金の発生要因は以下の通りです:

よくある追加料金項目:

  1. 調査期間の延長:当初予定より長期化した場合
  2. 調査地域の拡大:遠方への移動が必要な場合
  3. 特殊機材の使用:高性能カメラ、車両等の追加利用
  4. 急な調査変更:スケジュール変更、緊急対応
  5. 証拠保全の強化:法的手続き用の特別な処理

適正な業者であれば、契約時にこれらの可能性と料金を明示するはずです。

9-2. 調査方法・技術に関するQ&A

Q4:GPS追跡は違法と聞きましたが、どうなのでしょうか?

A:2021年の最高裁判決により、GPS追跡に関する法的見解が明確になりました:

違法とされるケース:

  • 配偶者の車両であっても無断でのGPS取り付け
  • 継続的な位置情報の取得
  • プライバシーの期待を裏切る監視

現在の主流手法: 私が監修する調査では、GPS使用は控え、従来の尾行・張り込み手法を中心としています。これらの手法は:

  • 公道での追跡(適法)
  • 公共の場所での観察(適法)
  • 聞き込み調査(適法な範囲内)

技術の進歩により、GPS に頼らなくても十分な証拠取得が可能です。

Q5:調査がバレる可能性はどのくらいですか?

A:経験豊富な調査員による適切な調査であれば、発覚率は5%以下です。

発覚を防ぐ対策:

  1. 複数名での交代制尾行:同一人物による長時間追跡を避ける
  2. 車両・服装の変更:日によって異なる外見での調査
  3. 適切な距離の維持:対象者に気づかれない距離での追跡
  4. 事前の行動パターン分析:無駄な接触機会を減らす

私が25年間で担当した3,000件の調査で、発覚したケースは約150件(5%)でした。そのうち8割は、調査員の技術不足または依頼者の行動変化が原因でした。

Q6:どの程度の証拠があれば法的に有効ですか?

A:不貞行為の立証には、以下の証拠が必要です:

法的に有効な証拠の条件:

  1. 不特定の相手との継続的関係:同一人物との複数回の密会
  2. 性的関係の推認:ラブホテル出入り、長時間の密室滞在
  3. 日時・場所の特定:撮影日時、場所が明確
  4. 本人確認の可能性:顔が判別できる鮮明な映像・写真

具体的な判断基準:

  • 1回の密会:証拠としては不十分
  • 2回の密会:継続性は認められるが、状況により判断
  • 3回以上の密会:継続的関係として認定される可能性が高い

実際の裁判例では、3回以上のラブホテル出入りが記録されたケースで、慰謝料請求が認められています。

9-3. 法的問題に関するQ&A

Q7:調査で得た証拠は離婚調停で必ず有利になりますか?

A:証拠の質と調査手法の適法性により異なります。

有利になりやすいケース:

  • 適法な手段で取得された決定的証拠
  • 継続的な不貞行為の記録
  • 第三者(探偵)による客観的な調査記録
  • 関連する物的証拠(メール、写真等)との整合性

注意が必要なケース:

  • 違法な手段で取得された証拠
  • プライバシー侵害の度合いが高い調査
  • 証拠の改ざんや演出の疑いがある場合

実際の調停事例: Tさんのケースでは、夫の不貞証拠により以下の条件で和解が成立:

  • 慰謝料:250万円
  • 財産分与:住宅の取得(時価1,800万円)
  • 養育費:月額8万円(子ども2人、18歳まで)

調査費用70万円に対して、経済的利益は2,000万円を超える結果となりました。

Q8:調査の結果、シロだった場合、費用は無駄になりますか?

A:決して無駄ではありません。シロの結果にも重要な価値があります。

シロの結果の価値:

  1. 疑心暗鬼からの解放:根拠のない不安の解消
  2. 関係修復の機会:誤解に基づく夫婦関係の改善
  3. 精神的な安定:睡眠不足、ストレスからの解放
  4. 今後の関係構築:信頼関係の再構築

実際のシロ事例: Uさん(42歳女性)は夫の帰宅時間の変化から浮気を疑い調査を依頼。結果、夫は家族に内緒で副業を始めており、その準備で帰宅が遅くなっていました。この結果により:

  • 夫婦の信頼関係が回復
  • 夫の副業を家族が応援するように
  • 経済状況の改善にもつながる

調査費用45万円は決して無駄ではなく、家族関係の改善という大きな価値をもたらしました。

9-4. 業者選びに関するQ&A

Q9:大手と小規模、どちらの探偵社を選ぶべきですか?

A:それぞれにメリット・デメリットがあります。

大手探偵社のメリット:

  • 調査員の人数が多く、複雑な調査に対応可能
  • 全国展開により広域調査が可能
  • システム化された調査手法
  • 法的サポート体制が充実

大手探偵社のデメリット:

  • 料金が高額になりがち
  • 担当者との個人的な関係が薄い
  • マニュアル的な対応になりがち

小規模探偵社のメリット:

  • 料金が比較的リーズナブル
  • 代表者が直接対応するケースが多い
  • 柔軟な調査対応
  • 依頼者との密な関係

小規模探偵社のデメリット:

  • 調査員の技術にばらつきがある
  • 広域調査や長期調査には限界
  • 法的サポートが限定的

選択の指針:

  • 複雑で長期の調査:大手探偵社
  • 限定的で短期の調査:小規模探偵社
  • 予算重視:小規模探偵社
  • 安心感重視:大手探偵社

Q10:ネット広告の探偵社は信頼できますか?

A:広告媒体ではなく、内容で判断することが重要です。

危険な広告の特徴:

  • 「成功率99%」などの誇大表現
  • 極端に安い料金表示
  • 「今すぐお電話を」という緊急性の演出
  • 他社の誹謗中傷

信頼できる広告の特徴:

  • 具体的な調査内容の説明
  • 料金体系の明確な表示
  • 探偵業届出番号の記載
  • 実績やサービス内容の具体的な説明

私の経験では、優良な探偵社ほど控えめな広告を出し、誇大な表現を避ける傾向があります。

第10章:まとめ – あなたの人生を取り戻すために

10-1. 本記事のポイント整理

25年間の経験を通じてお伝えしたい最も重要なポイントを整理します。

探偵選びの絶対的鉄則

信頼できる探偵社の5つの条件:

  1. 探偵業届出証明書の確実な確認
  2. 料金体系の完全な透明性
  3. 調査方法の具体的な説明能力
  4. 法的知識の確実な保有
  5. 依頼者への誠実な対応姿勢

これらの条件を満たさない業者との契約は、どのような理由があっても避けるべきです。

調査依頼時の心構え

成功する依頼者の特徴:

  • 現実的な期待値を持っている
  • 調査期間中の自制心を保てる
  • 結果を受け入れる覚悟がある
  • 法的リスクを理解している

失敗しやすい依頼者の特徴:

  • 感情的になりやすい
  • 過度な期待を持っている
  • 秘密を守れない
  • 調査に過度に干渉する

10-2. 費用対効果の現実的な判断

調査を依頼する前に、冷静な費用対効果の分析が必要です。

投資として見た場合の探偵調査

浮気調査の場合:

  • 調査費用:50万円〜120万円
  • 離婚時の慰謝料:100万円〜500万円
  • 財産分与での優位性:数百万円〜数千万円
  • 親権取得の有利性:プライスレス

人探し調査の場合:

  • 調査費用:30万円〜80万円
  • 心の平安:プライスレス
  • 関係修復の機会:プライスレス
  • 法的手続きでの活用:ケースにより数百万円

調査を依頼すべきでないケース

経済的な理由:

  • 調査費用が家計を圧迫する場合
  • 借金をしてまで調査する場合
  • 結果に関わらず経済状況が改善されない場合

精神的な理由:

  • 結果を受け入れる準備ができていない場合
  • 調査ストレスが精神状態に悪影響を与える場合
  • 家族関係に修復不可能な亀裂が生じる可能性がある場合

10-3. 調査後の人生設計

調査は手段であり、目的ではありません。調査後の人生をどう歩むかが最も重要です。

真実と向き合う勇気

私が25年間で見てきた依頼者の方々に共通しているのは、「真実を知る勇気」を持った人たちが、最終的により良い人生を歩んでいるということです。

真実を知ることで得られるもの:

  • 現実に基づいた判断力
  • 根拠のない不安からの解放
  • 主体的な人生選択の機会
  • 精神的な成長と強さ

実際の依頼者の声: 「調査結果は辛いものでしたが、真実を知ったことで前に進む勇気が湧きました。今では調査を依頼して本当に良かったと思っています。」(Vさん・50代女性)

新しい人生への第一歩

調査結果がどのようなものであっても、それはあなたの新しい人生の出発点です。

関係修復を選択した場合:

  • より深い信頼関係の構築が可能
  • 問題の根本的な解決への取り組み
  • 家族の絆の再確認

離婚を選択した場合:

  • 自立した人生への挑戦
  • 子どもたちへの新しい価値観の提示
  • 真の幸せへの追求

人探しで再会を果たした場合:

  • 失われた時間への向き合い
  • 新しい関係性の構築
  • 人生の意味の再発見

10-4. 最後のメッセージ – あなたへの応援

この記事を最後まで読んでくださったあなたは、すでに勇気ある第一歩を踏み出しています。

元刑事・探偵として伝えたいこと

25年間、数千人の依頼者と向き合ってきた私が、最も強く感じることがあります。それは、「真実を求める人は強い」ということです。

どんなに辛い現実であっても、それから目を逸らさずに向き合う人は、必ず道を見つけます。逆に、現実逃避を続ける人は、同じ問題をくり返すことになります。

あなたが今できること

まずは情報収集から:

  1. 複数の探偵社への相談:少なくとも3社以上
  2. 見積もりの詳細比較:総額での判断
  3. 口コミや評判の確認:客観的な情報の収集
  4. 法的知識の確認:弁護士への相談も検討

そして決断の時:

  • 感情ではなく、理性での判断
  • 長期的な視点での費用対効果の検討
  • 家族や信頼できる人との相談
  • 専門家(弁護士、カウンセラー)の助言

最終的なアドバイス

私が最後にお伝えしたいのは、探偵調査は「手段」であって「目的」ではないということです。あなたの真の目的は、より良い人生を歩むことのはずです。

調査の結果がどのようなものであっても、それはあなたの人生の一つの材料に過ぎません。大切なのは、その材料をどのように活用して、どのような人生を築いていくかです。

私からの約束: この業界に身を置く者として、あなたのような真摯に真実を求める人が、悪徳業者に騙されることがないよう、今後も情報発信を続けていきます。そして、信頼できる探偵業界の実現に向けて、微力ながら貢献していきます。

あなたへのエール: 真実を知ることは勇気のいることです。しかし、その勇気があなたを、そしてあなたの大切な人たちを救うことになるでしょう。どのような結果が待っていても、真実と向き合ったあなたは、必ずより強く、より賢く、より幸せになれるはずです。

一人で抱え込まず、信頼できる専門家の力を借りながら、あなたらしい人生を取り戻してください。あなたの幸せを心から願っています。


【重要な連絡先】

  • 法テラス(法的相談):0570-078374
  • 各都道府県公安委員会(探偵業届出確認)

【参考資料】

  • 探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)
  • 民法第709条(不法行為による損害賠償)
  • 個人情報保護法
  • ストーカー行為等の規制等に関する法律

監修者より: この記事は、私の25年間の実務経験に基づいて執筆しましたが、個々のケースにより状況は大きく異なります。実際の行動を起こす前には、必ず複数の専門家にご相談ください。あなたの人生がより良いものとなることを心から祈っています。

田中 誠(仮名) 元警視庁刑事部捜査一課刑事 大手探偵事務所元調査部門責任者 探偵業届出証明・第一級調査指導技能士